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 個人診療所から医療法人になることによって、税金がどのようになるか対話形式で示します。 (本文は平成16年度の税制を前提としています。)下記のシミュレーションソフトは電子メールで入手できます。(この文章の末尾をご覧ください。)

目次

  1. 税金はどのくらい安くなるのか?
  2. 医療法人、個人診療所比較表
  3. 表の見方
  4. 有利な理事長報酬
  5. 診療所の純益の増加への対応
  6. 剰余金の意味
  7. 他の節税策
  8. シミュレーションについて

1.税金はどのくらい安くなるのか?

MD:開院して5年近くになりますが、最初のうちは確定申告で税金が還ってきたのですが、一昨年くらいから確定申告で税金を払うようになりまして、今年は予定納税も増えてきました。ローンの返済もあるので何とか税金を減らして楽になりたいと思い、医療法人の設立を考えています。 

CPA:開院当初は経費も多く、所得も低いので所得税と住民税の額も低かったのですが、2〜3年すると所得も増えますし税率も累進構造なので、急に税額が増え、社会保険診療報酬支払基金からの天引き分では足らなくなり、それまでは確定申告で税金が還っていましたものが、納付となりますので、余計に重税感が強いわけです。もし、支払基金での源泉税の天引きが無ければ2年目くらいから納税をしていたことになります。 

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2.医療法人、個人診療所比較表

MD:そこで、医療法人を検討しているのですが、どのくらい税金が安くなるのでしょうか? 

CPA:来年の所得、つまり、診療所の純益が2,000万円くらいで、このほか校医手当や原稿料などが50万円あるとしますと、次に表とグラフで示しましたように、200万円程度税金が減って、手取額が増えることになります。

医療法人、個人診療所比較表

初期値:

1,200

刻み:

120

前提条件

@診療所の純益:

2,000

A自由診療等割合:

10.0%

Bその他所得:

50

C所得控除:

200

(金額単位:万円)

区 分

個人診療所

←   ←

→→

理事長報酬

1,200

1,320

1,440

1,560

1,680

1,800

1,920

2,040

2,160

2,280

2,400

2,520

2,640

2,760

2,880

3,000

3,120

法人純利益

800

680

560

440

320

200

80

-40

-160

-280

-400

-520

-640

-760

-880

-1,000

-1,120

法 人 税

176

150

123

97

70

44

18

0

0

0

0

0

0

0

0

0

0

法人住民税

37

33

28

24

19

15

10

7

7

7

7

7

7

7

7

7

7

法人事業税

4

3

3

2

2

1

0

0

0

0

0

0

0

0

0

0

0

法人剰余金

583

494

406

317

229

140

52

-47

-167

-287

-407

-527

-647

-767

-887

-1,007

-1,127

理事長報酬

1,200

1,320

1,440

1,560

1,680

1,800

1,920

2,040

2,160

2,280

2,400

2,520

2,640

2,760

2,880

3,000

3,120

給与控除額

230

236

242

248

254

260

266

272

278

284

290

296

302

308

314

320

326

総 所 得

2,050

1,020

1,134

1,248

1,362

1,476

1,590

1,704

1,818

1,932

2,046

2,160

2,274

2,388

2,502

2,616

2,730

2,844

所得控除額

200

200

200

200

200

200

200

200

200

200

200

200

200

200

200

200

200

200

課税所得額

1,850

820

934

1,048

1,162

1,276

1,390

1,504

1,618

1,732

1,846

1,960

2,074

2,188

2,302

2,416

2,530

2,644

所 得 税

411

106

132

166

201

235

269

303

337

372

409

451

493

536

578

620

662

704

住 民 税

210

76

91

106

120

135

150

165

180

195

209

224

239

254

269

283

298

313

事 業 税

0

0

0

0

0

0

0

0

0

0

0

0

0

0

0

0

0

0

合計 税額

620

182

223

272

321

370

419

468

517

566

618

675

732

789

846

903

960

1,017

個人剰余金

1,430

1,068

1,147

1,218

1,289

1,360

1,431

1,502

1,573

1,644

1,712

1,775

1,838

1,901

1,964

2,027

2,090

2,153

剰余金合計

1,430

1,651

1,641

1,624

1,606

1,589

1,571

1,554

1,526

1,477

1,425

1,368

1,311

1,254

1,197

1,140

1,083

1,026

wpe4.gif (12759 バイト)

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3.表の見方

MD:沢山の線が並んでいますが、どこを見たら良いんでしょうか?

 CPA:まず、垂直方向に剰余金や可処分所得といった税引き後の手取額を示しています。つまり、垂直方向に上であればあるほど手取額は増え、良いということになります。 

 個人の場合だと手取額、つまり可処分所得は約1,430万円ということになります。本当は点で表せば足りるのですが、法人との比較のため青の水平線で表しています。

 次に、医療法人ですが@受取り手が法人と理事長個人の2人になりますこととA診療所の純益が同じでも理事長の報酬を上下することによって、理事長自身の手取額は勿論のこと、法人の剰余金は逆方向になりますが上下に変動します。

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4.有利な理事長報酬

MD:それでは、法人にしたとき、理事長報酬をいくらにしたら最も有利なんでしょうか?

 CPA:ポケットが2つありますので、理事長報酬はいくらが良いかというのは一概に申せません。ケースによって異なることになります。

 例えば法人と理事長個人の手取額の合計(黄緑の線)をもってその指標とすることも出来ます。この場合には理事長報酬を診療所の純益の約70%に設定すれば、その目的は達せられます。但し、この場合、理事長の手取額(赤い線)を見れば分かりますように個人(青の線)の場合と比べ200万円ほど少なくなります。

 つまり、理事長の手取りを200万円減らし、法人(桃色の線)の手取りを400万円増やし、差引き200万円合計では得をしたことになります。

 MD:住宅ローンも残っているし、子供の学費も増えてきますので、理事長個人の手取額を減らされるのは辛いですね。

 CPA:それでは手取額が個人時代と同じになるよう理事長報酬を1,800万円にするのは如何でしょうか? 節税効果は少なくなりますが、この場合でも、法人に剰余金が130万円ほど残ることになります。 しかも、個人と理事長手取りとは、ほぼ同額です。

 MD:もっと極端に法人に剰余金が残らない2,000万円近く受け取るというのも考えられますね? 

CPA:そういう考えもあると思います。節税メリットは減りますが、理事長の手取額は個人の場合より70万円ほど増えますので、お子様の学資など個人的支出が多い場合にはお勧め出来ると思います。このとき、法人は50万円ほどの黒字となりますので、実質的には120万円の手取り増となります。

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5.診療所の純益の増加への対応

MD:いままでのお話は、診療所の純益が2,000万円と仮定していますが、もし、これより上下したときはどうなりますか?一番有利になるように途中で仮決算をして、報酬を上下したり、賞与を出すことは出来ますか?

 CPA:基本的には会計期間の途中で理由なく役員報酬を上下したり、賞与を出したりは出来ません。特に賞与は医療法によって禁止されていますし、法人税法上も損金(経費)になりません。

 ですから1度決めた報酬は1年間は一定ということになります。従って、あくまでも次の年度の予測を基に役員報酬を先生のお考えに近くなるよう決めることになります。

 MD:それでは目一杯理事長報酬を取ろうとしても、診療所の純益が予測を下回った場合には法人は赤字でも理事長は高い税金を払うことになるのでしょうか?

 CPA:一つの年度ではおっしゃる通りですが、法人の赤字は次の年度以降に引き継ぐことが出来ますので、長期的にはご損はありません。極端な場合は別として、単年度でも個人診療所の場合と比べて税金が多くなることは少ないと思います。

 それと何事も同じですが、100%得だというものはないと思います。薬と同じように、医療法人も副作用があります。例えば、今お話が出ましたような単年度では税金が多くなってしまうようなこともあります。将来の収益を正確に推測できれば最善の方策が取れるのですが、誤差のない推測は出来ません。長期的観点から、損得をお考え頂いたほうがよろしいのではないでしょうか。

 また、一般的には将来の予測は容易で、比較的誤差の少ない業種だと思います。  それに法人は長期にわたり存続するものですから、その時々によって、目的も変わってきます。段々と理事長報酬はそう多く必要とはしないようになるのが普通かと思います。例えば、年齢的にも上がってきて、次世代への交代を考えるような時期になりますと、理事長が報酬を受取るより法人に残したほうが良いのではないかと思います。

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6.剰余金の意味

MD:法人化によって、ポケットが2つになるということですが、法人に余ったお金は理事長が使ってもいいのでしょうか?

 CPA:法人の剰余金は法人が使うことは出来ますが、個人が使うことは原則的には出来ません。法人の余剰資金を理事長個人が借り入れることは可能ですが、無条件で無利息で言うわけには参りません。少なくとも、利息は払わなければなりませんし、無利息だとそれは利息分だけ経済的利益を受けているということで、法人は受取利息の収益があり、理事長個人はその分だけ役員報酬を多く受け取っている計算で課税されます。

 ただし、法人の剰余金を医療機器を購入するなど法人の為でしたら自由に使えますし、例えば1,000万円の資本金でスタートした場合、運転資金(つまりレセプトの2カ月分)に不足することが多いでしょうから、この資金に充当できます。これから、まだまだ収入は増加傾向にありますので、運転資金の需要は多くなりますし、医療機器も高いので設備資金の需要は旺盛になるものと思います。法人に剰余金が貯まってくれば、理事長が資金を立替えたり個人でローンを組まなくても済みますので、10年くらいは法人に剰余金を多く残すことも、良い選択かと思います。

 MD:理事長が多く取るのか、または法人に残すのかは判断の問題なのですね。

 CPA:そのとおりです。それと最終の判断は先生がされるということです。私どもの仕事は、判断の材料を提供することと、ある程度の幅のある選択肢をお示しすること、それから少し踏み込んで、先生の判断が少しずれているのではないかと思いますときに、私どもの見解を再度示し、先生がその結果について正しく理解されていること確かめることだと思います。あくまでも、判断と結果についての最終責任は先生にあるのですから、最終決断は先生がなされるべきかと思います。

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7.他の節税策

MD:節税効果はせいぜい、10−20%くらいでしょうか? 税金がもっと減ると思ってました。 

CPA:今回の例では15%くらいですが、このほか理事の報酬とか細々と数%稼げますので、ケースによりますが、20%程度の節税効果はあろうかと思っています。

 法人税そのものの節税策や相続贈与税の節約効果も期待できる場合もあります。つまり、所得税よりも法人税の方が優遇措置が多いですし、出資持分の贈与をうまく使えば実質的な贈与を無税で行えます。  たった20%かとお思いかも知れませんが、5年に1回税金を払わなくても済むのと同じ計算ですし、個人でされるより色んな対策が組めることは確かです。 地下鉄の回数券より割引率はマシとお考えいただけないでしょうか? 

 ただ、残念なのは、一旦税金を払ってから節税分が還ってくるのではないので、実感として税金が安くなっていると思って頂けないことです。それに法人化されるくらいの先生は診療所が繁盛し、収入が増えるケースが多いのです。所得が増え、税額そのものが累進的に高くなり、手取りは収入の伸びほど増えないということです。原因は高負担(税金、社会保険料など)、低給付(年金健保など) ですが、これは政治の問題です。私も先生ご同様、政治家と官僚の税金の無駄使いに腹を立てている一人なんですから。 

MD:節税額に差があることは分かりましたが、理事長報酬をいくらにするかどうか以外にも、節税策の優劣があるのでしょうか? 

CPA:その先生を取り巻く「環境」によっても、将来予測が出来るかどうかによっても、会計事務所の能力によっても変わってきます。それに、医療法人側の対応とか協力度によっても変わります。先生方の治療も同じことが言えるのでじゃのではないでしょうか? 

MD:今後の税制の展望と医療法人の有利さの変化は?

 CPA:余談ですが、法人税はグローバルな企業がその多くを負担しており、税率を上げることは却って税収を減らす結果をもたらす可能性が高く、税率は低下傾向にあります。ここ数年でで2割ほど税率引き下げとなっています。所得税も同程度引き下げとなりました。トータル的にはほんの少し、医療法人の有利さ加減が減ったようです。

 それでも、依然として医療法人が有利であることは変わりません。今まで、住民税を含めた所得税率がそんなに高くないレベルで高度の累進構造となってましたが、現在は住民税を合わせた最高税率は36%程度となっています。(個人の最高税率は50%ですが、定率減税がありますので、少し下がります。)

 税率そのものが下がった結果、法人税率との差で節税することの意味合いが以前より弱くなったと言えますが、あるレベルを超えると法人税率が低くなります。私は、理事長の手取額を増やす方法が数年前より有利になったと思っています。

 つまり、以前は個人の所得税率が高かったので、法人税を払う方が安くついたので、理事長報酬を減らし、法人の利益を増やすことが節税になったのですが、この差が縮んできたということです。

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8.シミュレーションについて

MD:診療所の純益も変わってきますし、理事長報酬もどうすればよいか自分で検討したいのですが、このシミュレーションは簡単に使えますか?

 CPA:お示ししましたのは、少しラフなところはありますが、簡単ですし、ご自身で色々お試しになるには十分かと存じます。パソコンもお持ちですし、是非お試しください。

 奥様(理事)の報酬をどのくらいにされるのかとか、大学等にお勤めの場合などで給与所得がかなりある場合には、別途に当方にご相談下さい。別途、詳しい資料を出してみたいと存じます。

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(第9版 平成16年11月21日)

<シミュレーションソフトの有償配布のお知らせ>平成19年度版への改訂作業中につき配布を中止をいたしております。

 上に示しました表とグラフはLotus社の1−2−3(R5J)で作成していましたが、現在はシミュレーションソフトをExcel 97(*.XLS)で作成しております。エクセルは上位互換性がありますので、新しいバージョンでもお使いになれます。

 ソフトをご希望の方は次の諸条件をご承諾の上、電子メール(webmaster@cpasawada.comでお申し込み下さい。

 お申し込みは、ご氏名、ご住所、お電話番号(及びファクシミリのお電話番号)並びに電子メールアドレスをご明記の上、当事務所の電子メールまでへお願いします。

 なお、Lotus社の1−2−3のお使いの方はその旨をご明記下さい。旧バージョンのExcelのファイルに変換してお送りします。万一、お使いになれない場合でも、試用期間中でしたら、解約が出来ます。

 <条件> 

@ このシミュレーションソフトの著作権は公認会計士澤田義実事務所にあります。

A このシミュレーションソフト及び操作説明書の一部もしくは全部を無断で転用し、もしくは複製することは出来ません。(複製は次項の利用のための破損に備えてのバックアップに限ります。)

B このシミュレーションソフトは使用者1名につき、同時に1台のコンピューターに限り使用することが出来ます。

C このシミュレーションソフト及び操作説明書を運用した結果の影響については、著作権者は一切の責任を負いません。

D このシミュレーションソフトの試用期間は著作権者からの発送の日から2週間とします。この試用期間内において試用者はこのシミュレーションソフトを自由に使用することが出来ます。

E 試用者は次の何れかに該当するときは速やかに著作権者の指定する口座に代金3,150円(消費税込み)を振り込みます。 a)使用の意思表示を著作権者にした場合  b)解約の意思を表示することなく、試用期間を満了した場合 F 試用者は試用期間の満了の日までに次の何れかの行動をとる必要があります。

a)使用することを著作権者に通知し、速やかに著作権者の指定する口座に代金3,150円(消費税込み)を振り込む

b)著作権者の指定する口座に代金3,150円(消費税込み)を振り込み、使用することの意思表示をする

c)使用しないことを著作権者に通知し、送付されたシミュレーションソフトを直ちに廃棄する 

G 代金が振り込まれた場合、使用者は著作権者の有する名簿に登録され、その次の税法改正による改訂版を受け取ることが出来ます。

H 著作権者の指定口座は次の通りです。なお、振込手数料は使用者のご負担です。

  銀行支店名:UFJ銀行谷町支店 

  預金種別及び口座番号:普通預金口座 No.3820201

  口座名義人:澤田義実(さわだ よしみ)                                                   以上

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  最終更新日 : 2006/12/02 ページアクセス統計用(2005/01/09)